ダンディズムの基本について 3
靴磨きに関して通人たちは言います。
仕上げ、それも最後の仕上げには女性用ナイロン・ストッキングが不可欠である、と。
この上なく柔く、この上なく肌理こまやかな布が理想的であること言うまでもないのですが、実は使用済みであることも条件に含まれるといいます。
新品よりもそのほうが女性の脚から自然の脂あらわれて、いとなめらかに仕上げてくれるのだとか・・・。
まあ、これらはほんの一例で、靴磨きひとつとっても男というものは、洒落者というものは、微に入り細を穿たなくては納得できないのです。
しかし私が言う「丁寧に靴を磨く」の意味は少し違います。
なにも靴に顔を映して、髭が剃れるくらいにピカピカに仕上げよ、という意味ではありません。
靴の底まで磨け、と言いたいのです。
いえ、事実、靴に通じている人はラバー・ソールでない限り、靴底を磨きます。
磨くというよりもミンク・オイルなどを塗り込みます。
そのほうが足に馴染み、永持ちもするからです。
しかし、私の説はこれともまた違います。
純粋に、靴の底を磨くのです。
つまり土踏まずのあたりを常に光らせておきます。
ビジネスバッグとは違い、けっして人目には触れないであろう部分を、いつでもピカピカに磨いておきます。
・・・これこそがダンディの一歩だと考えるのです。